「アカウントのご確認」に要注意。実際にあったなりすましメール

以前、メールに表示される「公式マーク(BIMI)」についてご紹介しました。今回ご紹介する詐欺メールは、そのマークとは別の話です。マークを表示するには商標登録に基づく別の手続きが必要で、今回のメールはそこまでは通っていなかったため、マークは表示されていません(詳しくは本文で解説します)。
「認証済み」の表示があっても、油断はできません
2026年9月21日、大手通販サイトを装って「アカウントのご確認をお願いします」とログインを求める、巧妙なフィッシングメールが確認されました。

厄介なのは、メールの正当性を確認する技術的な仕組みが、すべて「合格」と表示されていたことです。「認証済みだから安心」がいかに危ういか、実例から見ていきましょう。
3つのポイントで一気に理解

何が起きた?

通販サイトを装い、アカウント確認を口実にログインを迫るメールが確認された

何が巧妙?

メール認証の技術的なチェックがすべて「合格」と表示されていた

何を覚えておく?

認証チェックの合格は、送信者が本物であることを保証しない

実際に確認されたメールの内容

「【重要】アカウントのご確認をお願いします」という件名で、本家サイトそっくりのデザインの中に「ログインして確認」ボタンが置かれていました。

表示されていた送信者名大手通販サイトの名称
実際の送信元アドレス全く別の、無料メールサービスのアドレス(例:@gmail.com、@outlook.jp、@yahoo.co.jp など)
ボタンのリンク先通販サイトとは無関係の短縮URL
メール認証(SPF・DKIM・DMARC)すべて「合格(PASS)」と表示
表示名と実際の送信元アドレスが異なるメールのイメージ
表示名は正しくても、実際の送信元アドレスが違うことがあります

「認証に合格」でも安全とは限らない理由

やさしく言うと、どういう仕組み?

SPF・DKIM・DMARCは、郵便物でいう「消印」や「差出人の照合」のようなものです。ただし確認しているのは「技術的な送り主が誰か」だけで、「名乗っている会社と一致しているか」までは確認していません。今回も「大手通販サイトからの合格」ではなく、「無料メールサービスからの合格」だったのです。専門用語は覚えなくても、「合格の表示=会社が本物」ではないことだけ知っておいてください。

さらに今回のメールでは、会社名の文字列に目に見えない特殊な文字が紛れ込ませてあり、単純な文字チェックをすり抜けようとした形跡もありました。迷惑メールに振り分けられず受信トレイに届いた=安全、とは限りません。

消印だけの封筒と、消印に加えて正式な証明(封蝋)が付いた封筒の比較イメージ
「消印(認証チェック)」だけの封筒と、「正式な証明(商標登録)」付きの封筒は別物です
以前ご紹介した「公式マーク(BIMI)」との違い:今回のメールには、公式マークは表示されていませんでした。実はBIMIの正式なマークを表示するには、SPF・DKIM・DMARCの認証に合格するだけでは足りません。「VMC(Verified Mark Certificate)」という、実際の商標登録に基づいた証明書を取得する必要があり、いわば「メール版の商標登録」のようなものです。今回の詐欺メールは、無料メールサービスの認証には合格していましたが、この商標登録に相当する手続きまでは通っていなかったため、マークは表示されなかったと考えられます。マーク自体は今も有効な目印ですので、あわせて確認する習慣を続けましょう。

送信元のメールアドレスを、実際に確認してみる

多くの大手企業は自社の公式ドメインでメールを送っています。表示名ではなく実際のアドレスを確認するだけで、見分けやすくなります。

スマートフォンでの確認方法

  • 1iPhone標準メール:送信者名をタップ
  • 2Gmailアプリ:送信者名の右の∨マークをタップ
  • 3リンク・ボタン:開く前に長押しすると、行き先のURLだけをプレビューできます
スマートフォンで送信元アドレスを確認する操作のイメージ
送信者名をタップ・長押しすると、実際のアドレスを確認できます
表示された「@」より後ろ(ドメイン)が、名乗る会社と無関係なら要注意。似せた偽ドメインもあるため、一文字ずつ確認しましょう。

もし、リンクを開いてしまったら

気づいた時点でできる対応

  • 1何も入力していなければ、そのままブラウザ・アプリを閉じればOKです。大きな被害に直結することは少ないですが、その画面でパスワードなどは入力しないでください
  • 2ID・パスワードを入力してしまったら、公式サイトから直接ログインしすぐ変更
  • 3同じパスワードの使い回し先もあわせて変更
  • 4カード情報を入力していたらカード会社に連絡

[ユーザーの皆さまへ] 「よくできたメール」ほど、一度立ち止まる

「アカウントの確認」を急かすメールが届いたら、リンクは開かず公式サイトを自分で開いて確認する習慣をつけましょう。

[通信事業者の皆さまへ] 「認証済み」の限界も伝えておく

メール認証の仕組みを説明する際は、「合格していてもなりすましの可能性はゼロにならない」という限界もあわせてお伝えください。

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